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  • 山口祥兵

「頼れる町の獣医さん」を目指して……個人動物病院と獣医師の共利共存を目指すフリーランス獣医師(フリーランス獣医師 森田慶先生)

更新日:2022年1月26日

八つの病院を渡り歩くフリーランス獣医師の森田慶(もりたけい)先生。現在では総合病院副院長、専門病院副センター長として診療に携わる傍ら、離島診療や保護活動にも携わる。フリーランスネットワーク代表としても活動を始めた彼の原点と、その先に見据えている目標に迫った。(2021年4月4日取材)



始まりは一匹の捨て猫


中学生の時に捨て猫を拾ったことがあるんですよ。

「ちょっとベタなんですけど」と笑いつつ、森田先生は獣医師を志したきっかけについて話してくれた。


学校の帰り道に「みゃーみゃー」と鳴き声が聞こえたので見てみたら捨て猫がいて、どうしよう、と。その時におばちゃん先生が一人でやっている動物病院に連れて行って、その猫を助けてもらった、というのがきっかけですね。

悩んだ末に駆け込んだ先は、「町の動物病院」だった。

そこでダニの予防をしてもらい、飼い方を教わった彼は、そのまま猫を連れ帰ることにしたのだった。その猫は今でも実家でのんびり過ごしているという。


もともとハムスターやフェレットを飼っていたこともあり、動物は好きだった。

とはいえ、ただ単に動物が好きだったから獣医師を目指したわけではない。


町の診療所みたいなところで一人でやっている獣医さんに憧れたんです。

彼の頭にあったのは、あくまでも「町の獣医さん」だった。

この憧れが今の森田先生を形作っていったのだ。


この時、彼は中学三年生だった。


獣医師になろうと決めてからは、進路に迷うことは全然ありませんでした。

中学生で獣医を志してから今に至るまで、その想いがブレることはなかった。

高校、大学と進路に迷うことなくストレートで進学し、2016年には大学を卒業。


こうして森田先生は憧れの獣医師となった。


今でこそフリーランス獣医として活躍している森田先生だが、もちろん最初からそのような働き方をしてはいなかった。

卒後は動物病院で勤務医として働き始め、そこで多くの喜びや苦難と出くわすことになる。


獣医師として働いてきた中で一番印象に残っているのは、そうした勤務医時代のエピソードだという。

当時の彼は卒後間もない新米獣医師で、何の医療行為も出来ないまま、ひたすら入院患者の世話をしていたという。


その頃によく面会にいらっしゃる飼い主さんがいました。「今日はこんなことがあったよ、こんな様子だったよ」と入院している子の話をしていたんですが、その子が退院する時にお礼と一緒に個人宛な頂き物をしまして。

学校で学んだこと以上に現場での経験が物を言う世界だ。

獣医師になったとはいえ、すぐさま何でもできるというものでもなかった。

そうした状況は森田先生の思い描く獣医師像とは必ずしも合致せず、もどかしさを感じることもあったかもしれない。


飼い主と接する機会が少ない中、自分「個人」に対して感謝の言葉をもらえたことで格別な想いが込み上げてきた。


獣医師としては駆け出しの時期で、病院ではなく個人的にお礼を言われたのが初めてだったのですごく印象的でした。「獣医さんになったんだなあ」って感じましたね。

「働いてお礼を言われたりすると、ちょっと辛いことがあってもがんばろうって思える」と森田先生は続けた。


獣医師を志してからここまで順風満帆に見える森田先生だが、先に述べたとおり、その裏には多くの苦労も潜んでいた。

中でも彼を大きくつまずかせたのは、過労問題だった。


その頃は休みの日がありませんでした。唯一の週休日も朝と夕方は当番で行かなければならなかったので、半年間職場に行かなかった日がないんですよ。

その業務の特性もあってか、動物病院での仕事が苛烈を極めることはしばしば課題として挙げられる。

作業の肉体的負担や拘束時間の長さ、そして命を預かる責任がのしかかり、時として獣医師を蝕んでしまう。


体力的にも精神的にもどんどんきつくなってしまって……ある日、出勤しようにも足が動かず、それがきっかけで退職してしまいました。

休みなく働き続けていく中で森田先生の精神は疲弊し、ついには半年後に限界を迎えてしまった。


しかし、そこで臨床の業界を去ろうと考えるほど、彼の意思は薄弱ではなかった。



消えることのなかった臨床獣医師への想い


中学生の頃から十年近く「自分は獣医さんになる」って思っていたので、臨床以外の道は考えてなかったです。臨床が合わないというよりは病院が合わなかったという感じだったので、もう一度がんばろうと思いました。

そこには長年の「夢」があり、それを叶えるために森田先生は再度奮起した。

先程語ってくれた「飼い主さんからの感謝」も彼の心の支えになったのかもしれない。


二つ目の職場で相性の良い動物病院に出会うことができて、週二日は絶対休みなので時間の余裕も作れました。社会人になってからまるまる休みっていうのは全然なかったので、「二日も休んでいいのかな?」とすら思いましたね。

これが、後に森田先生がフリーランス獣医師としての道を歩むきっかけにもなった「上埜動物病院」(東京都世田谷区)との出会いである。


時間に余裕ができた森田先生は、その環境に甘んじることなく貪欲に学びの場を増やしていった。

元から興味のあった皮膚科についても学びたいと思い、週一で東京農工大学の附属動物病院での研修に参加するようにもなった。


ただ働いて終わりではなく、新たな学びを得たり、働き方について考えたりすることに時間を充てられたことが、今のキャリアに繋がっているという。


三年間で研修を修了した森田先生は、そこで町の動物病院と大学動物病院の違い……つまりは一次診療施設と二次診療施設の違いを目の当たりにすることとなった。


二次診療施設では診断を目的とした患者さんが大半です。そういう風に通常は診断をしてから治療に入るのが基本だとは思うんですけど、一次診療では経済的な理由などで検査が出来ないこともたくさんあります。だから、「まずは治療からトライしてみよう」とか、今を乗り越えるための対症療法で折り合いがつくことも多いです。

二次診療施設に来る患者は、一次診療施設で診断が付かなかったケースがほとんどだ。

だからこそ、「飼い主さんはベストを求めてくる」と森田先生は言う。


二次病院はそういう意味でも最後の砦という感じですね。

一次診療施設では経済的な理由などから可能な範囲での折り合い見つけていくのに対し、二次診療施設ではどう診断をつけるかに頭を使う。

森田先生によると、両者にはそういった違いがあるのだという。


対症療法が悪いとは全く思いません。だけど、二次診療を知らないままじゃなくてよかったなと思います。診断の付け方や状況に応じた対処法を学ぶことで、治療の幅を広げることができました。

農工大で学んだことは多くが内科に通じるもので、森田先生は自分の好きな分野でさらなるステップアップを遂げたのだった。


ところで、手術などの外科分野についてはどのように道筋を立てているのだろうか。


避妊去勢手術などはもちろんやりますが、「自分が手術をうまくできるようになろう」って実はあまり思わないんですよ。僕は内科が好きだし、得意なんです。手術でバシッと治す病気に関しては、それが上手な先生に任せます。

獣医と聞くと手術シーンを思い浮かべる人は多いことだろう。

そうしたイメージに囚われることなく、森田先生は自分の得意分野である内科を今後も伸ばしていきたいと語る。


皮膚病や心臓病に対して検査データを読み解いたり、治療の方法を探っていったりするのがすごく好きです。今でも循環器クリニックで研修を受けて心臓の勉強をしています。夢は「頼れる町の獣医さん」なので、内科のスペシャリストになっていきたいですね。

手術による外科治療というものはもちろん重要であり、なくてはならないものである。

しかしそういった部分は他の先生に任せ、自分は内科診療を研ぎ澄まして病気と向き合っていく。

その言葉に込められているのは、「町の獣医さん」を目指す彼の「より患者に寄り添った診療を大切にしていきたい」という強い想いだ。



フリーランス獣医師へ……きっかけはプロポーズ?


転職や研修医期間を経て獣医師として一回り大きくなった森田先生だったが、そんな彼を待っていたのは、とある一つの出来事だった。

それは一見すると悩ましい問題ではあったが、その解決に向かう過程で彼は「フリーランス獣医師」という未知の舞台へと大きく導かれていくこととなる。


上埜動物病院で勤務医をしていた時に、付き合ってた彼女にプロポーズしたんです。それを機にお金ベースでの人生設計をしてみたんですよ。

「二人で暮らしていくにはどのくらいのお金があればいい?」

「子供が産まれた場合はいくら必要?」


どのタイミングでどのくらいのお金がかかるのかを計算したところ、個人経営の動物病院勤務医のままではそれを叶えることが難しいという結論に至ったという。


給料が少ないなどという単純な話ではなく、個人病院で僕が貢献できるキャパシティが限られているんです。

一般的には経験や技量に応じて昇給や賞与が望めるだろう。

しかし、個人経営の動物病院のように比較的小規模な事業所ではそうはいかない。

日によっては院長一人で充分に手が足りることもあるだろう。最新鋭の技術を習得したところで、活かす場がなければ貢献のしようもないだろう。


「貢献してもいないのに給料を上げてもらうのも申し訳ない」と森田先生は続けた。


だが、そう結論付けたところで経済的な問題が消えるわけでもないし、何よりも彼には昔から抱いている憧れがあった。


気持ちとしてはやっぱり、憧れていた個人病院に関わり続けたい。その折り合いを付けようとした時に思ったのが、「一つじゃなくて、複数の個人病院に行けばいいんじゃないか?」、「一つの個人病院で勤務医が週五日も働く必要はないんじゃないか?」ということでした。

小さな病院では集客などの限界もあり、人生設計に沿うだけのお金を稼ぐことは難しい。

かといって、個人病院を離れて給料の高いところへ行くのも安直だ。それだと自分の理想とする獣医師像からかけ離れてしまう。


そう考えた時に辿り着いた答えが、「個人病院を掛け持つ」というものだった。

動物病院の手が足りない時や院長が不在になる時に、スポットで依頼を受けて診療を行う(代診)ことで、自らの貢献量を増やすことができると考えたのだ。


こうして最初は二つの病院の掛け持ちから始め、それが広がっていって出来上がったのが今の「フリーランス獣医師」という形だという。


全て辞めてしまってゼロからフリーランスとして働くのは怖いんですが、元々いた病院に軸足を置きながら独立することができたのは大きかったです。

そうは言うものの、「働く時間を減らして他の動物病院でも働きたい」と勤務先に告白するのは中々に難しかったのではなかろうか。


それはもう、院長に正直に話しました。「この病院と関わり続けたい」っていうのは、本当に心から思っていましたから。そういうことを話せる仲だったのがありがたいし、院長の器の大きさでもありますね。「そんなのだめだよ」って否定しないで、やりたいようにやらせてくれたっていうのは、すごくありがたいですね。

上埜動物病院に出会ったことで、彼は新たな道を歩むことができたのだ。

それを裏付けるように「上埜動物病院に来ていなかったら今のフリーランスの自分は存在しない」とまで森田先生は話していた。



フリーランス獣医師のお仕事とは?~依頼するメリット~


こうした経緯があり、現在フリーランス獣医師として活躍している森田先生。

そんな森田先生が考える、フリーランスならではの強みや想いは一体何だろうか。

その特徴も合わせて、一つずつ見ていきたい。


代診の場合は、動物病院ごとに求められることが結構違うんです。

「代診」とは先程も軽く触れたとおり、院長先生が不在の時などに代わりに診療を行うことを指す。


診療行為だけを求められることももちろんあります。得意分野の皮膚科や循環器内科は、院長の代わりに診ることもあります。今は動物病院のマネジメントも任されています。業務改善を試みる若い動物病院では、そういったものが求められることもあるんです。

森田先生が必要とされる場面は、単純な診療に限られることなく多岐にわたる。

特に、動物病院の経営・運営に関するアドバイザーのような役割を求められることもあり、複数の動物病院を並行して見ることができるフリーランスならでは強みだと言える。


また、フリーランスにもいくつか種類があるという。


同じフリーランスでも外科専門とか皮膚科専門とかだと常にその人の診療スキルが求められるんですけど、僕みたいな一般診療主体だとそうじゃないんです。病院の治療方針にいかに合わせて動けるかが重要になります。

そういったフリーランス同士の違いを、森田先生は俳優に例えて解説する。


スペシャリストの先生は俳優で例えるとキムタクなんです。どの役をやっても「キムタクらしさ」を求められます。
僕はどちらかというと、流動的な現場の中で柔軟に動くことが求められる。菅田将暉くんのようなカメレオン俳優という感じです。

森田先生は得意な分野こそあれ、彼の言う「スペシャリスト」ではない。

だからこそ、場所によって求められていることを自分の頭で理解すること。

そして、それをパフォーマンスしていくこと。

その二つを強く意識して、実際の現場に臨んでいる。


いつでもどこでも同じことをするのではなく「目の前の人が一体何を求めているのか」を常に考えることは、どこに行っても大切で、必要な能力だ。

そうしてまずは、相手との信頼関係を構築することが最重要だと話してくれた。


最初の一歩として大事なのは、求められている形にハマること。それが一年、二年と経って信頼関係ができた時に、院長や病院自身がまだ気付いてないところを見つけて進言していく。そういう風に段階を踏んでいくことが大事です。



自分たちの気付いていない潜在的な問題を指摘し、解決に導いてくれる。

そのように言えばありがたい存在ではあり、ただ診療を行うに留まらない付加価値となるだろう。


しかし、信頼関係も構築できていない、内部のこともよくわかっていない人間に指摘されるとどうだろう。

誰しも気を害し、逆にマイナスの要素になりかねない。

だからこそ日頃の業務で信頼関係を築いていくことが重要なのだ。


表面化している問題の解決はもちろんですが、今のところ大事には至っていない潜在的な問題点(業務効率化など)に関しても、様々な動物病院を並行して見ているだけに気づきやすいですね。意外とそのスキルが求められたりするんです。

八つもの病院を渡り歩いている森田先生だからこそ見えるものがあり、求められることも必然と多くなる。


個人病院は場所ごとにかなり文化が違います。教科書通りの経営戦略などは当てはまらないことがたくさんあります。そういう時に、これまでに培ってきたいろんなバリエーションのベストプラクティス(最良の手法)を役立てられたらいいなと思います。


フリーランスの果てに何を目指す


今やフリーランスとしての経験も積み重なり、多くの動物病院から頼りにされている森田先生。

そんな彼に今後の課題や目標について伺ったところ、「患者さんとの繋がり」に難しさがあると語ってくれた。


獣医師と動物病院との信頼関係の構築が大事という話が先程もあったが、それは獣医師と患者に置き換えても同様である。


通常であれば同じ先生に何度も診てもらう中で信頼関係は構築されていく。

しかし、森田先生は多くの病院を渡り歩いているため、一つの病院にいる日数としては多くても週一日とかなり少なくなってしまう。

そうなると患者との信頼関係を築いていくことは難しく、コミュニケーションの不全から診療に差し障ることもないとは言い切れない。


それでも、森田先生は自分の得意分野を活かし、患者との繋がりを構築していっている。


僕はもともと皮膚科や循環器といった内科疾患を担当することが多いので、「また二週間後に来てください」とか「一ヶ月後に定期検診です」とかできるんですよ。そうすると僕がいる日に来てくれるので、患者さんとはそこで勤務している場合と同じレベルで繋がることができます。

一ヶ所一ヶ所の出勤回数が少ない森田先生は、このような方法で患者さんとの繋がりを保っている。

そういう意味で、慢性的な内科疾患と代診の相性は良い。


しかしながら、あくまでも相手するのは病気だ。

そのため時には予測不能な事態に陥ることがあり、必ずしも森田先生の診察日に受診ができるとは限らない。

病院の方針や診察状況によっては、同じ患者を継続して診察できないこともある。


一方で、動物病院側から「同じ患者を継続して診てほしい」と依頼されることもあるため、そのような機会は逃さずに信頼構築に努めるという。


そうしたコントロールできない事象を乗り越えて、週一回の出勤の中で患者の信頼を得なければならない。

このあたりからも、フリーランス獣医師が患者との信頼を築くことの難しさが見て取れる。

落ち着いている慢性の内科疾患であれば、二~三ヶ月に一回の定期検診でお会いすることもできます。そういった自分の働き方にもついて来てくださる患者さんにはとてもありがたく思っています。

限られた時間の中で自分を必要としてついてきてくれる患者を大切にするためにも、次に磨くべきところは「いかに患者さんとの繋がりを強くするか」という点であると森田先生は言う。


彼の最終目標はやはり、昔も今も変わらず「町の獣医さん」だ。

院長が一人でやっている個人動物病院が好きで、今でもなお、憧れが止まらないという。


フリーランスは長くてもあと五年ですね。三十五歳まで。そして「動物病院の院長を引き継ぐ」ということが、フリーランスの終わりに考えていることです。

中学生の頃からの夢。

そのゴールまで五年で辿り着くと、森田先生は決めている。


そこに到達するために、フリーランスで働きながらもっと多くのことを学びたい――。

森田先生はそのように意欲を滲ませた。


各専門家の先生と一緒にお仕事をすることで、(学んだことを)自分の中に落とし込めるので、フリーランスでいる間に二次診療施設のスペシャリストの先生方と働いてたくさん学んでおきたいです。

動物病院を引き継いで院長になったら、自分だけでなく病院やスタッフを守っていく必要が出てくる。

無論、経営にも頭を使わなければならなくなり、今以上に雑務も生じるため、診療勉強に割ける時間は激減するだろう。


それまでに吸収できることは吸収しきって診療のレベルを上げておきたい――。


院長になったら今度は自分がフリーランスの先生方に仕事を依頼する立場になるので、僕みたいにフリーランスとしてがんばってる人がいたら、ちょっと多めにお給料を渡したいと思っています(笑)

院長の負担は減り、フリーランス獣医師が潤っていく。

フリーランスでも生計が立てられることが示せたら、その数は次第に増えていく。

そうやって世代が繋がっていくことで、個人病院の院長先生も休みやすくなる。


それは、かつて自身を苦しませた獣医師の労働問題に対する挑戦と言っても過言ではないだろう。

彼の想いは獣医師に向けられたものばかりではない。

その診療方針にも細やかな配慮が見られる。

動物の健康を通して飼い主さんの幸せに貢献することが獣医師の仕事だと思っているので、病気を治すことは前提です。ですが、その先に飼い主さんがいるということは常に考えています。ペットの意志を確認できるわけではないので、考え方としては「シェアード・ディシジョン・メイキング」というものを意識しています。

シェアード・ディシジョン・メイキング(Shared decision making)とは「医者と患者が一緒に治療の方針を決める」という考え方だ。


例えば腫瘍が見つかった場合、「根治できそうなので手術をするのがベスト」というのが獣医師の見解だったとする。

しかし、獣医師の提示するベストな治療プランを患者が必ずしも望むとは限らない。特別な事情があって手術は望まないということもありえる。


そんな時に、それ以外の色々な選択肢をエビデンスと共に提案して飼い主と一緒に方針を決めていく。

これがシェアード・ディシジョン・メイキングである。


同じ年齢、同じ病気、同じ状況でも、やっぱり飼い主さんの環境によってベストな方法は違うので、そういう細やかな対応ができる「町の獣医さん」を目指しています。

これが彼の診療に対する想いだ。

そこには捨て猫を拾った時に助けてもらった原体験が根ざしていることだろう。


いつの日か「町の獣医さん」になった森田先生に憧れた子供たちが獣医師を目指し始める――そんな未来がやって来るのもそう遠くはないかもしれない。


後進獣医師やフリーランスやりたい人向けメッセージ


複数の動物病院を掛け持つフリーランスの働き方は、一般診療の分野においてはまだ新しく、興味はあっても不安が残る方は少なからずいらっしゃるのではないかと思います。
僕個人の活動や、獣医フリーランスネットワークの活動を通して、新しい働き方に関する正確な情報を皆様にお伝えできればと思います。動物病院が増え、動物飼育頭数が減るこの時代に「1人で」ではなく「皆で」最適解を考えていきたいです。その中の選択肢のひとつとして、フリーランスの働き方が一般的になったらいいなと思います。


獣医師情報

獣医師名:森田慶

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